イラン「報復の選択肢検討」、ホルムズ海峡封鎖か 米の核施設攻撃受け

22日イスタンブールで会見するイラン外相(2025年 ロイター/Umit Bektas)
[イスタンブール/ワシントン/エルサレム 22日 ロイター] - 米国がイスラエルと連携し、イランの主要核施設を攻撃したことを受け、イランの今後の対応が焦点となっている。
米軍による核施設3カ所の攻撃に対し、イランはイスラエルに向けたミサイル攻撃で応じた。テルアビブでは多数の負傷者が出たほか、建物が倒壊した。
米国土安全保障省は「米国における脅威の高まり」を警告した。
イランはこれまで、米軍基地への攻撃や世界の石油供給遮断といった米国に対する報復の脅しを実行に移していないが、こうした状況は続かないかもしれない。
イランのアラグチ外相は22日のイスタンブールでの会見で、報復への選択肢を検討しており、これを実行した後に外交による対応を考慮すると指摘。「米国は国際法を尊重しておらず、脅迫と武力という言葉しか理解していない」と非難した。
トランプ米大統領はテレビ演説で、今回の攻撃を「壮大な軍事的成功」と呼び、イランの主要な核濃縮施設が「完全かつ全面的に消滅した」と述べた。
地下に重要な核施設があるイランのフォルドゥには地中貫通弾(バンカーバスター)が使われたが、イランの高官筋はフォルドウにある高濃縮ウランの大半は攻撃前に別の場所に移されていたと述べた。ロイターはこの主張を確認できていない。
同筋はロイターに対し、施設の要員数も最小限に減らされていたと語った。
ロイターが入手したフォルドウの衛星画像では、米国の攻撃後の被害の様子がうかがえる。イランでの被害状況は把握できていない。イラン国内外の通信は大幅に制限されネット接続も遮断されている。
国際原子力機関(IAEA)は、施設外での放射線レベルの上昇は報告されていないと指摘。グロッシ事務局長はCNNに対し、フォルドウへの攻撃は明らかだが、地下の被害を評価することは今のところ不可能だと語った。
トランプ氏はイランに和平を迫り、応じなければ他の目標を「攻撃する」と述べている。
イラン議会はホルムズ海峡封鎖を承認したと報じられた。実行には国家安全保障最高評議会の決定が必要。ホルムズ海峡は世界の石油・ガス輸送の2割が行き交う大動脈。
イラン政府高官はロイターに対し、最高指導者ハメネイ師を標的にした場合、「全てのレッドライン(越えてはならない一線)を越えたとみなし、無制限の対応が正当となる」と述べた。
ヘグセス米国防長官は22日、イランの体制転換は目指していないと表明。ルビオ米国務長官も報復措置をとれば「イランにとって最悪の過ち」になると述べた。