最新記事
サイエンス

電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】

Kitchen Warning As Scientists Find 'Unexpected' Microwave Health Risk

2024年8月17日(土)10時25分
パンドラ・デワン
電子レンジ

TommyStockProject-shutterstock

<電子レンジの「予想外の健康リスク」を研究者が発見。台所からの警告とは?>

あなたはどのくらいの頻度で電子レンジを掃除しているだろうか? おそらく十分ではないだろう。

電子レンジから発せられる強力なマイクロ波は電子レンジに潜むバクテリアをすべて殺菌するのに十分と考えがちだ。しかし、最新研究によるとこれは事実ではないという。

【関連動画】プロに学ぶ電子レンジの掃除方法 を見る


 

スペイン・バレンシア大学と「ダーウィン・バイオプロスペクティング・エクセレンス」社の研究者が、30台の異なる電子レンジの内部から微生物をサンプル採取。どの細菌群が厳しい環境においても成長可能であるかを調査した研究が「フロンティアーズ・イン・マイクロバイオロジー(Frontiers in Microbiology)」誌に掲載された。

「ダーウィン・バイオプロスペクティング・エクセレンス」社CEOで微生物学者であるマヌエル・ポルカー博士は本誌に次のように語った。

「私たちの仮説とは、空気中や表面に存在しているバクテリアの中には、マイクロ波に抵抗できるものがあるというものです」

研究者たちは合計747種類の異なるバクテリアを発見。中でも最も多かったのはフィルミクテス、放線菌およびプロテオバクテリアであった。

さらに家庭用電子レンジと実験室の電子レンジのバクテリアを比較した結果、実験室の電子レンジでは主に無害なバクテリアが見つかったのに対し、家庭用電子レンジに見られるバクテリアは、人間の健康により大きなリスクを伴う可能性があることを発見した。

「台所の他の場所ほどではありませんが、家庭用電子レンジ内の細菌は病原性を持つ可能性があります」とポルカー博士は述べる。

アメリカの調査データによると、アメリカの家庭の90%が電子レンジを持っており、週に一度の掃除が推奨されているという。しかし、別の調査によるとアメリカ人の3分の1がこの基準を満たしていない。ポルカー博士は次のように述べる。

「キッチンの他の表面と同様に、電子レンジも掃除すべきです。電子レンジがバクテリアをまったく殺菌していないことを私たちの研究が示しています。これはまったく予想外の結果でした」

共同研究者であるダニエル・トレント博士は次のように述べる。

「薄めた漂白剤や市販の消毒スプレーで定期的に電子レンジを消毒することをすすめます。また、使用後は湿らせた布で電子レンジの内部を拭き、残留物を取り除くことが重要です。汚れがついた場合は直ちに掃除をして、バクテリアの増殖を防ぐ必要があります」

今回の研究結果が強力なバクテリアの除去に必要な新技術の応用・開発につながることが期待されるが、ポルカー博士は次のようにも述べる。

「わざわざエキゾチックな外国に行かなくても微生物の多様性を見ることができます。むしろ私たちの近くに存在している、微生物の生息地を見つけることが重要なのです」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン、ウラン濃縮停止を拒否 米との協議決裂を警告

ワールド

ロシア、ルーマニア大統領選を「奇妙」と非難 親ロ派

ビジネス

中国最優遇貸出金利、昨年10月以来の引き下げ 国有

ビジネス

アングル:ドルにさらなる下落余地、格下げで米国売り
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国は?
  • 4
    【裏切りの結婚式前夜】ハワイにひとりで飛んだ花嫁.…
  • 5
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    実は別種だった...ユカタンで見つかった「新種ワニ」…
  • 8
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 9
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 10
    日本人女性の「更年期症状」が軽いのはなぜか?...専…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 6
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 7
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 8
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

OSZAR »