最新記事
飛行機

大西洋航路の往復運賃「5000ドル」の旅...21世紀の「超音速」旅客機は夢か現実か

FLIGHT OF FANCY

2025年5月12日(月)09時48分
シオ・バーマン(本誌記者)
大西洋航路の往復運賃「5000ドル」の旅...21世紀の「超音速」旅客機は夢か現実か

米ブーム・スーパーソニックが開発中の超音速旅客機オーバーチュアの完成予想図 BOOM

<運賃はコンコルドの半額以下で、久々に「音速の壁」を突破する旅客機が登場。でも大量のジェット燃料を消費するので環境への負荷は甚大!?>

一度は断たれた夢が、今よみがえろうとしている。超音速で空を飛び、わずか3時間ほどで大西洋を越えてしまう旅客機の夢だ。

この夢は2003年に断たれた。英仏共同開発の超音速旅客機コンコルドが諸般の事情で運航を停止したからだ。以来20余年、「夢よもう一度」に懸ける会社がある。米ブーム・スーパーソニックだ。


夢を追うのには理由があると、同社のブレーク・ショールCEOは言う。大陸間の旅が容易になれば「異なる大陸に住む子供たちが触れ合い、友情を育む機会が増える。そうすれば、友達のいる国へ戦争に行こうなんて思わなくなる」からだ。

それはまた別の夢かもしれないが、同社は今年1月に小型のデモ機による超音速飛行を成功させており、関係各方面の期待が高まっているのは事実。

ただし新型エンジンの開発や実機の設計確定には時間がかかるし、大量の二酸化炭素をばらまくジェット燃料への批判にどう対処するかという問題もある。

振り返れば、超音速旅客機の開発競争が始まったのは1960年代。アメリカと旧ソ連が空や海で技術力を競い合っていた時代だ。

先行したのは旧ソ連のツポレフTu144。初飛行は英仏共同開発のコンコルドより早かったが、あいにくコンコルドよりも短命に終わった。

テクノロジー
「誰もが虜になる」爽快体験...次世代エアモビリティが起こす「空の移動革命」の無限の可能性
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ハッカー、「テレメッセージ」の広範なデータ傍受か 

ビジネス

ビットコイン過去最高値更新、リスク選好度の改善続く

ワールド

フィンランド、ロシア国境に35キロのフェンス完成 

ワールド

イスラエル軍が外交団に警告射撃、ヨルダン川西岸 各
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜いた──ただしそれは異形のAI
  • 4
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...…
  • 9
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 10
    【裏切りの結婚式前夜】ハワイにひとりで飛んだ花嫁.…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 5
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 7
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 8
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 9
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 10
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

OSZAR »